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CASE 01 / まなあそ食堂

手書きの伝票を、閉店後に打ち直していた

まなあそレジ
食堂レジ・会計複数端末2026年8月 公開
01 こまりごと

1日の売上が、閉店してからしか分からない

食堂は、注文を手書きの伝票に書いて回していました。その日の記録は、閉じたあとに人が打ち直して初めてデータになります。

もとの流れ

  1. 注文を聞いて、手書きの伝票に書く
  2. お会計。伝票は箱にためる
  3. 閉店後、伝票の束をスプレッドシートに打ち直す
  4. 月末に、その表から月次の集計を出す
しんどいのは3番です。お店が終わってからが、もう一仕事
しかも打ち直しているあいだは、その日いくら売れたのか誰も分かりません。 現金が合っているかどうかも、後から数え直すことになります。
02 どう解いたか

打った時点で、記録が終わっている状態にする

やったことは1つだけです。「後から打ち直す」という工程を、まるごと消しました。その場で打てば、それがそのまま記録になります。

BEFORE / 打ち直しがある
手書き伝票 閉店後・手入力 スプレッドシート 月次の集計 ここが終わるまで、その日の売上は誰も知らない
手書き伝票 閉店後・手入力 スプレッドシート 月次の集計 ここが終わるまで、その日の売上は 誰も知らない

人が打ち直す工程が、記録とタイムラグの両方を生んでいた。

AFTER / 打った時点で記録
レジの端末 席のハンディ スマホ ひとつの記録 伝票・支出・締め 分析ダッシュボード 現金出納帳 売上表(会社全体) 打ち直す人がいない / 何台で打っても同じ記録になる 電波が切れても打てる
レジ ハンディ スマホ ひとつの記録 伝票・支出・締め 分析ダッシュボード 現金出納帳 売上表(会社全体) 打ち直す人がいない 何台で打っても同じ記録になる 電波が切れても打てる

3つの出口(分析・帳簿・会社全体の売上)は、どれもこの記録を読むだけ。書き込むのはレジだけにしてある。

03 つかいかた

会計は、押す・押す・押す

現場で使うものは、機能の多さではなくタップの回数で決めています。89品目を6つに分けて、押すだけで会計が終わります。

STEP 1

品目を押す

カテゴリのタブから品目をタップするとカートに入る。学生・社会人など値段違いは同じカードにまとめてある。

STEP 2

お会計

お預かりを入れるとおつりが出る。誰が来たか(所属・分類・来店回数)は、忙しければ後回しでいい。

STEP 3

しめる

閉店後は金庫の現金を金種ごとに数えるだけ。その日の売上から計算した「あるはずの金額」との差が出る。

レジ画面。うどんのカードが並び、右にカートと合計が出ている
レジ品目を押すとカートに入る。学生・社会人など値段違いは同じカードにまとめてある
席の一覧。2つの席に注文と人数、お客さんの属性が出ている
せき席をタップして注文をためる。誰が来たかも席で聞いておける(会計にそのまま引き継ぐ)
締めの画面。きょうのまとめと、セルフ・寄付・支出の入力欄
しめその日の売上・セルフ・支出から「あるはずの金額」が出る。あとは金庫を数えるだけ
記録の画面。日ごとの収支が表で並んでいる
きろく日ごとの収支・売れたもの・伝票。あとから直すのもここでできる
この画面は、ぜんぶ架空のデータです

実際の売上やお客さまの情報は1件も入っていません。本番のレジとは別のコピーを用意して、 クラウドにつながる部分をまるごと外してあります(差し替えたのは1ファイルだけ)。 品目名と値段だけは実物です。お店に出ているものなので。

売上は、エラーを出さずに静かに消える

ここがこのページの本体です。動くものを作るのは難しくありません。難しいのは、間違いに気づけない壊れ方をしないことです。

TROUBLE 01

ハンディで打った注文が、消える

席で打った注文が、レジ側で誰かが伝票を切るたびに消えていました。エラーは出ません。ただ無くなります。

原因は「クラウドに1件も無い」と「クラウドからまだ届いていない」を、同じものとして扱っていたこと。 受け取った側が「無いなら空っぽ」と判断して、端末の記録を上書きしていました。

もう1つ、伝票番号の採番を待ってから記録していたのも悪手でした。待っているあいだにアプリを閉じると、その1件がどこにも残りません。

ここから決めたルール

・届いていないなら、届いていないままにする。「無かったら空」という既定値を書かない

・消していいのは人が消した印があるときだけ。印のない消失は事故として扱い、端末側を残す

・番号の発行を待たない。先に記録して、番号は後から直す

TROUBLE 02

連打すると、1件だけ落ちる

金額のボタンを続けて押すと、先に押したほうが消えることがありました。10回押して9回入る。現場では連打がふつうに起きるので、売上が少しずつ減っていきます。

原因は、カートを更新するときに「いまの中身」を古いまま持ち回っていたこと。 押した瞬間の中身ではなく、その1つ前の中身に足し直していました。
ここから決めたルール

・カートの更新は「いまの中身を受け取って、新しい中身を返す」形しか受け付けないようにする

・会計を確定する瞬間は、画面が持っている値ではなく保存済みのデータを読み直す

TROUBLE 03

直したつもりでも、確かめようがない

この手の不具合は、実機で再現するのがとても難しい。2台のタブレットを同時に触って、たまたま同じ瞬間に押さないと起きないからです。

だから、記録を突き合わせる部分だけを取り出してテストを書きました。 まず古いやり方でちゃんと消えることを再現してから、新しいやり方で全部通ることを確かめています(21件)。
ここから決めたルール

・「直った」と言う前に、まず壊れることを再現する。再現できない修正は、直った証拠がない

05 いま

閉店後の仕事が、1つ減った

0
打ち直す伝票
89品目
押すだけで会計
11
ハンディで注文キープ
3
この記録を読む先
06 つかっているもの

ぜんぶ、要望を伝えて作ってもらった

ReactTypeScriptVite Firebase(複数端末で同じ記録)オフライン対応Claude Code
僕はコードを1行も書きません。「ここをこうしたい」「これだと現場で困る」を伝えて、AIに作ってもらっています。 そのかわり、何が起きたら困るかだけは、誰よりも具体的に言えます。

このレジで言えば「打ち間違いより、気づかないうちに1件消えることのほうが怖い」。 そこが分かっているから、便利な機能より先に、消えない仕組みを作ってもらいました。